日時
2016年11月11日(金)10:30 - 11:30 (JST)
講演者
言語
日本語

常微分方程式論においては,漸近展開に基づく形式的解から完全な解を構成するための理論体系「Resurgence理論」が確立されており,そこでは漸近級数ボレル和の総和として解が与えられる.一方,Resurgence理論を経路積分形式での量子論に適用することで,非摂動的に理論を解析する道が開ける.しかし,その際には「摂動級数の高次」と「古典作用の停留点」という2つの要素を手に入れる必要がある.実は,Resurgence理論は変数の複素化に伴う「ストークス現象」に基づくことから,ここでの停留点には実古典解だけでなく複素古典解も含まれる.したがって,Resurgence理論の量子論への応用においては,理論の複素古典解を求めその寄与を取り入れることが重要になる.このレクチャーでは,摂動級数と複素解に基づいた非摂動的解析法の理解を目標として,以下の順序で議論を進める.

  1. 常微分方程式論におけるストークス現象とResurgence理論
  2. 量子論におけるResurgence理論
  3. 経路積分における複素解の重要性と最近の発展