日時
2018年11月9日(金)15:00 - 17:00 (JST)
言語
英語

タイトル: Application of a gradient flow method to thermodynamics of QCD with dynamical quarks

講師: 金谷 和至 氏 (筑波大)

概要:
グラジエントフロー法を応用してくりこまれた物理量を格子上で評価する新しい方法が九州大学の鈴木博さんらにより提案されました。この方法を用いれば、格子化により陽に壊される対称性に関係する物理量でも直接評価可能で、並進対称性やカラル対称性、超対称性など、これまで複雑な処理や膨大な計算コストを要求したり、そもそも格子上でどう定義すればいいかわからなかった物理量を議論する可能性を開きました。我々は、これを動的なクォークを含む2+1フレーバーQCDに応用して、QCD熱力学の系統的な研究を試みています。
QCDの熱力学量は、スタガード型クォークを用いた研究により、物理点での連続極限での値が得られていますが、スタガード型クォークで連続極限が正しくQCDになるかという原理的問題が残されたままになっています。連続極限が保証されているウイルソン型クォークではカイラル対称性の扱いで複雑なくりこみが要求され、カイラル対称性を保つ格子カイラルフェルミオンでは膨大な計算時間が要求され、いずれも物理的予言を行える段階には至っていませんでした。
グラジエントフロー法により、ウイルソン型クォークでもカイラル対称性に関わる物理量を直接評価できる可能性が開かれました。
ウイルソン型クォークを用いたフルQCD計算の進行状況と実情について報告します。

言語:日本語または英語

関連リンク