日時
2017年12月1日(金)15:00 - 17:30 (JST)
講演者
  • 倉谷 滋 (理化学研究所 開拓研究本部 (CPR) 倉谷形態進化研究室 主任研究員)
言語
日本語

古くから人々は、自然をことごとく理解するための雛形となる、ある種のイメージの世界を構築し、実際の自然と架空の自然観との摺り合わせ、論理的整合性を模索してきた。動物の形態的多様性や、発生の謎、そして、進化するのかしないのかをめぐり、さまざまなアイデアが提出された。観念論的な自然哲学の世界は、階層的な構造を持った多様性と、その中心を貫く不変の形象としての原型を標榜とし、進化論や新しい生物学がそれを破壊したが、分子生物学における「コンセンサス配列」に見るように、理想型の追求や、単純なモデル化を指向する19 世紀的傾向は今でも残っている。この講演では、ゲーテの原型論をまず掘り起こし、形態学における原型論と発生反復の関係、そしてその打開の経緯を吟味し、前成説と後成説のかかわりにも触れ、いま我々がどこにいるのか、カメの背中に乗って考えてみる。