日時
2019年12月26日(木)15:00 - 17:00 (JST)
言語
日本語

タイトル : 磁性体におけるワイル粒子の巨大応答とその制御に向けて

概要:近年、物性分野において、高エネルギー分野のトピックスがホットな話題となることが多い。特に、最近のワイル粒子の研究はその顕著な例である。21世紀に入り、物性分野においてトポロジーの重要性の認識とともに、トポロジカル絶縁体などの新しい量子相がいくつも発見されてきたが、最近、特に注目を浴びているのが、3次元のギャップレス相であるワイル半金属と呼ばれる物質群である。ワイル半金属は、空間反転対称性を持たないクラスと時間反転対称性を持たないクラスの二つに分けられる。本講演では、一般的な物性分野の研究紹介を最初に簡単にさせていただいたのちに、後者に属するワイル金属磁性体に着目した話題を詳しく紹介する。特に我々の研究グループが近年進めているワイル粒子の示す応答、例えば、異常ホール効果、異常ネルンスト効果、カイラル異常の研究に加えて、時間が許せばその応用の可能性についても述べる。さらに、磁性体の強みは磁場等の外場で磁性を制御できることであり、それに基づいたワイル粒子の制御の可能性ついても触れる。物性分野の強みは、多角的な実験が可能で、理論と実験が両輪として常にお互いの確認を取りながら進歩できるということである。一方で、一つの現象に様々な自由度が複雑に絡み合っている可能性があり、単純化したモデルで本質を捉えることが難しい場合も多い。そのあたりについても触れながら、様々な事例をご紹介したい。

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