プレスリリース
60 ニュース
-
2019-04-03
プレスリリースガンマ線バーストのスペクトルと明るさの相関関係の起源
理化学研究所(理研)開拓研究本部長瀧天体ビッグバン研究室の伊藤裕貴研究員、長瀧重博主任研究員、数理創造プログラムのドナルド・ウォレン研究員、金沢大学理工研究域数物科学系の米德大輔教授らの国際共同研究グループは、国立天文台、理化学研究所、京都大学基礎物理学研究所のスーパーコンピュータを用いて、宇宙最大の爆発現象である「ガンマ線バースト」におけるスペクトルと明るさの相関関係(米徳関係)を、数値シミュレーションによって理論的に再現することに成功しました。
-
2019-02-21
プレスリリース体内時計を安定化する新しい仕組みを発見
Shingo Gibo (Postdoctoral Researcher, iTHEMS) and Gen Kurosawa (Senior Research Scientist, iTHEMS) have published a press release.
-
2018-12-18
プレスリリース巨大ブラックホール周辺の磁場を初めて測定
理化学研究所(理研)数理創造プログラムの井上芳幸上級研究員らの共同研究チームは、国立天文台などが国際協力で運用する「アルマ望遠鏡」を用いて、「巨大ブラックホール」周辺に存在する「コロナ」からの電波放射を観測することで、コロナの磁場強度の測定に初めて成功しました。 本研究成果は、これまでの巨大ブラックホール周辺構造の理解に再考を迫るものと考えられます。 銀河中心にある巨大ブラックホール周辺には、太陽と同じように高温プラズマのコロナが存在します。太陽のコロナは磁場によって加熱されていることから、ブラックホールのコロナの加熱源も磁場だと考えられていました。しかしこれまで、ブラックホール周辺の磁場は観測されておらず、その真相は謎に包まれていました。2014年に共同研究チームは、コロナからの電波放射の存在を予言し、それが観測できれば磁場測定が可能となり、コロナの加熱機構を解明できることを理論的に示していました。 今回共同研究チームは、アルマ望遠鏡を用いて、90~230ギガヘルツ(GHz、1ギガは10億)の電波帯域で二つの活動銀河の中心領域を高感度・高分解能で観測しました。その結果、自らの予言どおり、いずれの巨大ブラックホールからもコロナ由来の電波放射を捉えることに成功しました。そして、その電波放射成分から計算によって導かれたコロナの磁場強度は、従来の理論予測よりもはるかに小さく、磁場ではコロナを十分に加熱できないことが判明しました。
-
2018-10-16
プレスリリースThe First Telescope of a New Observatory for High-Energy Gamma-Ray Astronomy Makes its Debut
Several iTHEMS members are actively involved in a brand-new, cutting edge astronomical project, called the Cherenkov Telescope Array (CTA). CTA will be the foremost global observatory for very high-energy gamma-ray astronomy over the next decade and beyond and will be the first ground-based gamma-ray astronomy observatory open to the world-wide astronomical and particle physics communities. The scientific potential of CTA is extremely broad: from understanding the role of relativistic cosmic particles to the search for dark matter. With its ability to cover an enormous range in photon energy from 20 GeV to 300 TeV, CTA will improve on all aspects of performance with respect to current instruments. From iTHEMS, Susumu Inoue and Yoshiyuki Inoue in particular have been actively contributing to the science case studies of multi-messenger transient phenomena and supermassive black holes as members of the CTA Consortium. On Wednesday, 10 October 2018, more than 200 guests from around the world gathered on the northern array site of the CTA to celebrate the inauguration of the first prototype Large-Sized Telescope (LST). The telescope, named LST-1, is intended to become the first of four LSTs on the north site of the CTA Observatory, which is located on the existing site of the Instituto de Astrofisica de Canarias’ (IAC’s) Observatorio del Roque de los Muchachos located in the municipality of Villa de Garafia on the island of La Palma. The plan for the site also includes 15 Medium-Sized Telescopes (MSTs). The LSTs will expand the science reach to cosmological distances and fainter sources with soft energy spectra. Both the repositioning speed and the low energy threshold provided by the LSTs are critical for CTA studies of transient gamma-ray sources in our own Galaxy and for the study of active galactic nuclei and gamma-ray bursts at high redshift.
-
2018-09-11
プレスリリースAn unstable isotope Technetium-98 (98Tc) could be synthesized by neutrinos emitted from supernova explosions
A joint research group consisting of Masaomi Ono, a Research Scientist at RIKEN, and others has theoretically predicted that an unstable isotope Technetium-98 (98Tc) could be synthesized by neutrinos emitted from supernova explosions. Supernovae are important events in the evolution of stars and galaxies, but the details of how the explosions occur are still unknown. This research found a method to investigate the role of electron anti-neutrinos in supernovae. By measuring the amount of 98Ru (an isotope of Ruthenium) in meteorites, it should be possible to estimate how much of its progenitor 98Tc was present in the material at the time when the Solar System formed. The amount of 98Tc in turn is sensitive to the characteristics, such as temperature, of electron anti-neutrinos in the supernova process; as well as to how much time passed between the supernova and the formation of the Solar System. (This work appeared in Physical Review Letters on Sept. 4, 2018.) Caption: We can estimate the age of heavy elements in the primordial Solar System by measuring the traces left in meteorites by specific radioactive nuclei synthesized in certain types of supernovae. Credit: NAOJ (National Astronomical Observatory of Japan)
-
2018-07-26
プレスリリース銀河中心「巨大ガンマ線バブル」の謎に迫る -1000 万年前 の大爆発を X 線で検証-
井上 芳幸(数理創造プログラム 上級研究員)を含む、早稲田大学理工学術院の片岡淳(かたおかじゅん)教授らの研究チームは、東京大学・理化学研究所・金沢大学と共同で、銀河中心から噴出するガンマ線バブルとX線で見られる巨大ループ構造が、ともに1000万年前に起きた大爆発の痕跡である証拠を突き止めました。バブルが膨張する際に周囲の高温ガスを圧縮・加熱し、巨大ループ構造を形成したと考えられます。研究チームは2013年から5年にわたり、日本のX線天文衛星「すざく」を中心とした系統的な観測と解析を行いました。いまは穏やかな銀河系も1000万年前には活発に爆発を繰り返し、激しい進化を遂げてきた様子が明らかになりました。
-
2018-07-20
プレスリリース天の川銀河を包むプラズマの起源を解明
理化学研究所(理研)開拓研究本部玉川高エネルギー宇宙物理研究室の中島真也基礎科学特別研究員と数理創造プログラムの井上芳幸上級研究員らの国際共同研究グループは、天の川銀河を包む高温プラズマの性質と空間分布を調べ、その起源が銀河円盤部からの噴き出しであることを明らかにしました。 天の川銀河を構成する要素は、私たちの目(可視光)に見える星だけではありません。X線を使って観測すると、数百万度もの高温プラズマが天の川銀河全体を包み込んでいる様子が見えます。しかし、この高温プラズマの起源は、これまでよく分かっていませんでした。 今回、国際共同研究グループは、日本のX線天文衛星「すざく」を用いて、全天100カ所以上の観測データを解析し、高温プラズマの温度・密度・元素組成などの物理的性質を調べました。その結果、銀河内で起きた「超新星爆発」により加熱された高温プラズマが、銀河の随所から噴き出していることを解明しました。この高温プラズマはゆっくりと冷えて再び銀河の中へ戻っていくことから、銀河内の物質循環に重要な役割を果たしていると考えられます。
-
2018-06-22
プレスリリース数理モデルによる細胞分裂期の染色体ダイナミクスを解析
理化学研究所 理論科学連携研究推進グループ階層縦断型理論生物学研究チームの境祐二特別研究員(研究当時)、開拓研究本部望月理論生物学研究室の立川正志専任研究員、望月敦史主任研究員らの研究グループは、細胞周期の分裂期に見られる染色体の形成と分離のダイナミクスについて数理モデルを用いて解析し、染色体の形成と分離において「コンデンシン」が果たす役割を理論的に解明しました。 本研究成果は、理論と実験のグループが協力することにより、長年の謎であった染色体の形成と分離のダイナミクスの完全解明に貢献すると期待できます。 今回、研究グループは、染色体凝縮に中心的な役割を果たすタンパク質複合体であるコンデンシンの機能を、クロマチンとの相互作用として表現する数理モデルを構築しました。そして分子動力学計算を用いてシミュレーションすることで、染色体の形成や分離のダイナミクスにコンデンシンが果たす役割について解析しました。その結果、染色体の形態と分離速度の間に強い相関があることが明らかになりました。これは、コンデンシンが棒状の染色体の形成を通して、染色体分離のダイナミクスを制御している可能性を示しています。
-
2018-06-05
プレスリリース中性子の寿命の仕組みを垣間見る
理化学研究所(理研)仁科加速器科学研究センター理研BNL研究センター計算物理研究グループのエンリコ・リナルディ理研BNLセンター研究員、数理創造プログラムのチアチェン・チャン研究員(ローレンス・バークレー国立研究所 研究員)らの国際共同研究グループは、世界最高性能のスーパーコンピュータを複数用いて、中性子の寿命を決めている「軸性電荷gA」の最も精密な計算を実現し、これまでの実験値とほとんど矛盾しないことを示しました。 今後、さらに計算の高精度化を進めることで、理論計算と実験結果に差異が生じれば、それは素粒子物理学の標準理論を超える新しい物理学の兆候となるか、あるいは原子核内の世界に対する私たちの理解を根本的に変えることとなります。 中性子は原子核内では安定ですが、原子核外に取り出されると15分程度で陽子に転換してしまいます。「ベータ崩壊」と呼ばれるこの転換は、中性子を構成する素粒子のクォークやグルーオンと、標準理論における弱ゲージボソンの相互作用によって引き起こされます。通常の電荷が光と物質の相互作用の強さを表すように、gAは弱ゲージボソンと物質の相互作用の強さを表します。近年、gAと中性子寿命は二つの実験手法で非常に精密に測定されていますが、両手法で得られた中性子寿命の間には約9秒の差があり、この差は私たちの知らない崩壊モードの存在の可能性を示しています。 今回、国際共同研究グループは、スーパーコンピュータと最新の計算アルゴリズムを用いて、中性子寿命を決めるgAに対して、「量子色力学」に基づく精密な理論計算に成功し、実験値とほとんど矛盾しない結果を得ました。 本研究は、英国の科学雑誌『Nature』の掲載に先立ち、オンライン版(5月30日付け:日本時間5月31日)に掲載されます。
-
2018-05-24
プレスリリース新粒子「ダイオメガ」 -スパコン「京」と数理で予言するクォーク6個の新世界-
理研、京都大学、大阪大学、日本大学の研究者による共同研究グループ「HAL QCD Collaboration」は、スーパーコンピュータ「京」を用いることで、新粒子「ダイオメガ(ΩΩ)」の存在を理論的に予言しました。本研究成果は、素粒子のクォークがどのように組み合わさって物質ができているのかという、現代物理学の根源的問題の解明につながると期待できます。
60 ニュース