全国からの応募、選抜をくぐり抜けた高校生16名が、理化学研究所和光キャンパスで開催された「RIKEN和光サイエンス合宿2025」に参加しました。参加者は応募時に選んだABCの3つのコースに分かれ、個体間脳ダイナミクス連携ユニット(CBS)、分子リガンド標的研究チーム(CSRS)、そして数理創造研究センター(iTHEMS)にて、2025年7月28日〜31日の4日間にわたって、最先端の研究や技術を合宿形式で体験しました。

iTHEMSでは、本多正純と難波亮がCコース「量子の世界に迫る ~量子コンピュータで見るベルの不等式の破れ~」を担当しました。このコースでは、IBM Quantumが提供するクラウド型量子コンピュータの実機を用いて、量子論が古典論から本質的に逸脱していることを示す「ベルの不等式の破れ」の検証・実測を行いました。

集まった高校生たちの熱意と推進力は非常に強く、高校段階の数学や物理の枠を大きく超える内容にもかかわらず、実際に自分たちの力で量子コンピュータにベルの不等式の破れを検証するためのプログラムを実装するだけでなく、独自の方法を自分たちで編み出すなど、担当研究者たちを驚かせました。

実習以外にも、高校生たちは理研が保有する量子コンピュータ「叡」やスーパーコンピュータ「HOKUSAI」の見学、「叡」のVR体験、仁科センターの展示見学などを通して、理研の研究環境に触れました。また、昼食やコーヒータイムを通じてiTHEMSの研究者たちと自由に交流し、自分と興味を同じくする同世代と親睦を深めるとともに、等身大の研究者を知ることで自分の将来へも思いを馳せているようでした。

合宿の最終日には他のコースの参加者や担当研究者、理事長・理事の前で、合宿での体験や学んだことを発表し、4日間の合宿は幕を閉じました。RIKEN和光サイエンス合宿は理研が毎年開催している高校生向けの合宿プログラムで、これまでは実験系の実習が中心でしたが、今回初めて理論系のコースが設けられ、iTHEMSの研究者がその担当を務めました。

関連リンク