通常電荷の正負が同じ粒子の間には斥力(反発し合う力)、正負が反対の粒子の間には引力(引っぱり合う力)が働くことが知られています。ところが最近、このような「電荷の正負が反対の粒子間には引力が働く」という「常識」が、特殊な状況下では必ずしも成り立たないということが指摘されていました。

本多正純 基礎物理学研究所助教、谷崎佑弥 同助教、伊藤悦子 理化学研究所協力研究員、菊池勇太 ブルックヘブン国立研究所研究員(現・Cambridge Quantum Computing Japan研究員)らの研究グループは、シュウィンガー模型と呼ばれる1次元量子系において、電荷が反対の粒子間に斥力が働く状況を、数値シミュレーションにより実現することに成功しました。これは量子計算機で用いられるアルゴリズム(量子アルゴリズム)の新たな応用であり、通常の方法では解析が困難だった初期宇宙の時間発展や、有限密度領域における初期宇宙の相構造などの重要な問題の理解に貢献していくことが期待されます。

詳細は関連リンクの京都大学のプレスリリース記事をご覧ください。

Reference

  1. Masazumi Honda, Etsuko Itou, Yuta Kikuchi, Yuya Tanizaki, Negative string tension of a higher-charge Schwinger model via digital quantum simulation, Prog. Theor. Exp. Phys. 033B01 (2022), doi: 10.1093/ptep/ptac007

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