研究分野
位相幾何学・力学系理論
着任履歴
2017/02/01 - 副プログラムディレクター
その他の所属
武蔵野大学

数学は面白い。

メッセージ

私は幾何学を専門としています。多様体の位相、多様体上の構造の分類などの分野で研究をしてきました。しかし、徐々に分野横断型数理研究に関わることになり、「数理」を軸とする分野横断的手法による国際連携研究拠点である理化学研究所数理創造プログラム(iTHEMS)で初田哲男ディレクターを支えて研究を推進することになりました。

私が数学を学んでいた20世紀は、数学の抽象化、形式化が進んだ時代でしたが、20世紀の終わりごろには、数学の中でも再び具体的な問題への応用に焦点があてられるようになりました。数学の抽象化、形式化によって、数学の適用範囲は飛躍的に増加したこと、一方で計算機を用いて数学上の実験が容易になってきたことなどが、具体的な問題への応用を可能にした大きな要因です。測度論、確率論についての数学者全体における共通の認識がつくられて、微分積分、線形代数とともに基盤として使われるようになったことも重要な要素となっていると思います。これまでは数学的には古くから定式化されていた具体的な問題が多かったのですが、21世紀に入ってからは、諸科学分野から提示された問題が増えています。

私の研究に近い分野でも、シンプレクティク構造とフレア理論、リーマン面のモジュライ空間などは、物理学との深い関係を持ちつつ研究されていますし、パーシステントホモロジーは材料科学への直接の応用が見込まれています。数学の側から見て様々な問題が提示され、また新しい研究分野の創出が見こまれます。また高分子の形状の幾何学は、その生成過程を含め、非常に面白い対象ですが、その研究に20世紀の2~4次元の位相幾何の手法が使える可能性も秘めています。こういうことは近くにある融合分野として研究していく所存です。 分野横断型数理研究は、もっと広いもっと多様な研究を含んでおり、重要なことは、この分野横断型数理研究の全般を活性化し、高いレベルのものにしていくことであると思っています。そのために行いたいことは、最先端の数理科学分野と諸科学分野および産業との交流の促進による研究のシナジー効果を生成することです。融合研究による成果とともに、諸科学分野、数理科学分野において新たな展開をもたらしたいと思っています。また、この活動により諸科学分野および産業と数理科学の融合研究についての認知度を向上させたいとおもいます。さらに継続的にこの連携が推進されるために、数理科学分野と諸科学分野および産業との交流を担う人材、特に若手研究者を育成していきたいと思います。 どんな研究も気軽な話から始まります。数理創造プログラム(iTHEMS)のなかで自然にアイデアが交換され、それが新しい理論として大きく育っていくようにオープンな雰囲気を一緒に作り上げたいと思っていますのでよろしくお願いします。

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