ソバゲノムの解読 -高精度ゲノム解読がソバの過去と未来を紡ぐ-
2023-08-23
プレスリリース
2050年の世界人口は97億と予想され、イネ、コムギ、トウモロコシなどの三大穀物への食料の依存が問題視されています。これに対し、食料としての価値が高いにもかかわらず研究が遅れ、未開発のポテンシャルが秘められたままの「孤児作物」への関心が増しています。次世代シーケンシング技術による孤児作物のゲノム解読は、その効率的な育種を促進し、飢餓の撲滅や栄養改善などのSDGs達成への重要なステップとなることが期待されています。
ジェフリ・フォーセット(iTHEMS上級研究員)を含む国際共同研究グループは、孤児作物の一つであるソバのゲノム配列を染色体レベルで高精度に解読することにより、ソバのゲノムの進化と栽培ソバの起原を解き明かしました。さらに、予測された遺伝子をゲノム編集技術に依存しない手法で改変しました。その結果、これまで世界に存在しなかったモチ性ソバを開発することに成功しました。またソバの繁殖様式を他殖性から自殖性へ転換させることにより、新たな自殖性ソバの開発にも成功しました。本研究で用いられた育種方法は、ゲノム編集技術に未対応な多種多様な孤児作物の改良に貢献することが期待されます。
詳細は、関連リンクから、京都大学のプレスリリース記事をご覧ください。
Reference
- Jeffrey A. Fawcett, Ryoma Takeshima, Shinji Kikuchi, Euki Yazaki, Tomoyuki Katsube-Tanaka, Yumei Dong, Meifang Li, Harriet V. Hunt, Martin K. Jones, Diane L. Lister, Takanori Ohsako, Eri Ogiso-Tanaka, Kenichiro Fujii, Takashi Hara, Katsuhiro Matsui, Nobuyuki Mizuno, Kazusa Nishimura, Tetsuya Nakazaki, Hiroki Saito, Naoko Takeuchi, Mariko Ueno, Daiki Matsumoto, Miyu Norizuki, Kenta Shirasawa, Chengyun Li, Hideki Hirakawa, Tatsuya Ota, Yasuo Yasui, Genome sequencing reveals the genetic architecture of heterostyly and domestication history of common buckwheat, Nature Plants 9, 1236–125 (2023), doi: 10.1038/s41477-023-01474-1