理化学研究所(理研)開拓研究本部玉川高エネルギー宇宙物理研究室の中島真也基礎科学特別研究員と数理創造プログラムの井上芳幸上級研究員らの国際共同研究グループは、天の川銀河を包む高温プラズマの性質と空間分布を調べ、その起源が銀河円盤部からの噴き出しであることを明らかにしました。

天の川銀河を構成する要素は、私たちの目(可視光)に見える星だけではありません。X線を使って観測すると、数百万度もの高温プラズマが天の川銀河全体を包み込んでいる様子が見えます。しかし、この高温プラズマの起源は、これまでよく分かっていませんでした。

今回、国際共同研究グループは、日本のX線天文衛星「すざく」を用いて、全天100カ所以上の観測データを解析し、高温プラズマの温度・密度・元素組成などの物理的性質を調べました。その結果、銀河内で起きた「超新星爆発」により加熱された高温プラズマが、銀河の随所から噴き出していることを解明しました。この高温プラズマはゆっくりと冷えて再び銀河の中へ戻っていくことから、銀河内の物質循環に重要な役割を果たしていると考えられます。

Reference

  1. Shinya Nakashima, Yoshiyuki Inoue, Noriko Yamasaki, Yoshiaki Sofue, Jun Kataoka, and Kazuhiro Sakai, Spatial Distribution of the Milky Way Hot Gaseous Halo Constrained by Suzaku X-Ray Observations, ApJ 862 34 (2018), doi: 10.3847/1538-4357/aacceb

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