非可換ゲージ理論の量子シミュレーション
- 日時
- 2026年4月7日(火)18:00 - 19:30 (JST)
- 講演者
-
- 花田 政範 (Reader, School of Mathematical Sciences, Queen Mary University of London, UK)
- 言語
- 日本語
- ホスト
- Takumi Doi
Kogut-Susskingハミルトニアンを用いればゲージ理論の量子シミュレーションができ、高エネルギー物理学の様々な問題を解けるはずであると言われて久しいのですが、実際にどのような研究がなされたのかを調べてみると、非可換ゲージ理論に関する論文が極端に少ないことに気が付きます。これは、Kogut-Susskingハミルトニアンは非可換ゲージ理論の場合にはとても複雑で、量子回路を構成する( = プログラムをコンパイルする)以前に、そもそもハミルトニアンをqubitの言葉に書き直すための一般論すら存在しないからです。具体的には、無限次元のヒルベルト空間を正則化して有限自由度で近似する際に、SU(N)のような非自明な群多様体をどう扱えば良いのかが分かっていません。
この問題は、Kogut-Susskingハミルトニアンではなくてもっと筋の良いハミルトニアンを用いることで容易に回避できます。具体的には、Kaplan, Katz, Unsalによって構成されたorbifold lattice Hamiltonianを用いるのが便利です。Orbifold lattice Hamiltonianはゲージ場とスカラー場が相互作用する系を記述しますが、スカラー場は連続極限には寄与しません。(大きな質量を手で与えてUVの物理にすら寄与しなくすることも可能です。)しかし、ゲージ場とスカラー場をまとめて複素行列として記述するので、リンク変数がSU(N)ではなく\mathbb{C}^{N^2} = \mathbb{R}^{2N^2}に値をとります。たったこれだけの違いで、無限次元のヒルベルト空間の正則化が劇的に簡単になり、任意のSU(N)について効率的な量子回路を解析的に書き下すことが可能になります。
本講義では、量子シミュレーションの基礎から出発し、QCDを含む一般的な非可換ゲージ理論の時間発展を記述する量子回路を構成してシミュレーションコストを見積もるところまで解説したいと思います。
(3/24, 3/31, 4/7 の3回シリーズ)
このイベントは研究者向けのクローズドイベントです。一般の方はご参加頂けません。メンバーや関係者以外の方で参加ご希望の方は、フォームよりお問い合わせ下さい。講演者やホストの意向により、ご参加頂けない場合もありますので、ご了承下さい。